M&Aの相談相手は?【選び方や注意点について解説】

M&A(合併・買収)は、企業の成長戦略の一つであり、その成功は企業の未来を大きく左右します。

しかし、M&Aのプロセスは非常に複雑で、様々な場面で重要な決定をしなければならないため、「どんな人に相談すれば良いのか?」を知ることは非常に重要です。

この記事では、M&Aの相談相手について詳しく解説します。 相談相手の選び方や注意点について知りたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

目次
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M&Aの相談相手は?

M&Aの相談相手

そもそも、「M&Aは誰に相談すれば良いの?」と疑問に思っている方が多いと思います。

結論から言うと、知識や経験が豊富なM&Aの専門家や仲介業者などに相談するのがおすすめです。ただし、相談する相手によって、得意とする専門分野が異なったり、相談料が発生する場合もあります。

自社の目的に合った理想の相談相手を見つけるのは至難の技です。まずは、「M&Aはどんな相手に相談するのか」を簡単に解説します。

M&Aの相談は、以下のような専門家や業者に依頼する場合が多いです。

  1. M&Aの仲介業者
  2. 士業(弁護士や公認会計士など)
  3. 金融機関
  4. 公的機関

M&Aの相談相手といっても、たくさんの専門家や業者がおり、状況や条件に応じて相談相手が変わります。しかし、「M&Aの初心者」や「M&Aの知識がない方」が相談する場合は、M&Aの仲介業者に相談することをおすすめします。

M&Aの仲介会社は、法務、税務、財務の知識を一通り備えており、M&Aに関する相談から実行に向けた調査、交渉、成約後の統合実施など、M&Aに関する一切のサポートをしてくれます。

M&A初心者にとっては、専門的なサポートが必要とされることが場面が多いため、M&Aの仲介会社が最もおすすめの相談相手と言えます。

ただし、多くの仲介会社があるため、どんな依頼先に相談するべきか吟味が必要です。

M&Aの相談相手は、自社の状況やニーズに合わせて選ぶ必要があるため、相談相手の特徴やメリット、デメリットは以下の内容で詳しく解説しています。

相談相手①:M&Aの仲介業者

M&Aの相談相手は仲介業者

M&Aの相談相手の候補の1つには、M&Aの仲介業者が挙げられます。

ここでは、M&Aの仲介業者の特徴、メリット、デメリットを解説します。

  1. M&Aの仲介業者の特徴
  2. M&Aの仲介業者のメリット
  3. M&Aの仲介業者のデメリット

M&Aの仲介業者の特徴

M&Aの仲介業者の特徴は、企業や事業の売買を実現するための中立的な立場でサポートしてくれるところです。

M&Aの仲介業者の主な役割は以下の通りです。

  • M&Aに関するアドバイス
  • 企業価値(株式価値)の算定
  • M&Aの相手先との交渉やスキームの構築
  • デューディリジェンスの支援
  • 契約書類の作成支援
  • 契約書類の作成支援

M&Aに関するアドバイス

仲介業者は、M&Aに関する基本的な知識と経験を持っており、その専門知識を活用して、売り手と買い手双方にアドバイスをしてくれます。

特に、M&Aの候補先を選定し、売り手と買い手が出会う機会を作ってくれます。

M&Aの仲介業者を利用することで、売り手は複数の買い手候補に出会うことができ、買い手は効率的に売却希望者と出会うことができます。

企業価値(株式価値)の算定

M&Aの仲介業者は、企業価値を評価し、適正な価格で取引が行われるようにサポートしてくれます。

M&Aの相手先との交渉やスキームの構築

仲介業者は、売り手と買い手が公平な条件で取引できるように、交渉を仲介し、取引の枠組みを構築してくれます。

デューディリジェンスの支援

デューディリジェンス(事前調査)はM&A取引における重要なプロセスであり、仲介業者はこのプロセスを支援してくれます。

契約書類の作成支援

最終的な契約書類の作成も、仲介業者がサポートしてくれます。

M&Aの仲介業者は、M&Aに特化した業者のため、初めてのM&Aを検討している方は、M&Aの仲介業者がおすすめです。

M&Aの仲介業者のメリット

M&Aの仲介業者のメリットは、以下の3つです。

  1. M&Aに特化した知識と経験がある
  2. 効率的なマッチングできる
  3. 公平な取引条件の確保できる

まず1つ目のメリットは、「M&Aに特化した知識と経験がある」ことが挙げられます。

仲介業者は、M&Aに関する専門的な知識と経験を持っており、その専門知識を活用して、売り手と買い手の双方に適切なアドバイスを与えてくれます。アドバイスにより、企業は適切な判断を下すための情報を得ることができます。

2つ目のメリットは、「効率的なマッチングできる」点です。

仲介業者は、売り手と買い手が出会う機会を作ることができます。これにより、売り手は複数の買い手候補に出会うことができ、買い手は効率的に売却希望者と出会うことが可能です。

3つ目のメリットには、「公平な取引条件の確保できる」点です。

M&Aの仲介業者は、売り手と買い手が公平な条件で取引できるように、交渉を仲介し、取引の枠組みを構築してくれるプロフェッショナルの集団です。M&Aの仲介業者を挟んだ上で、取引条件を決めることで、企業は公正な価格で取引を行うことが可能になります。

M&Aの仲介業者のデメリット

M&Aの仲介業者のデメリットは、以下の3つです。

  1. 利益相反に陥る可能性
  2. M&Aが実現できないリスク
  3. M&A後の経営が買い手次第

まず1つ目のデメリットは、「利益相反に陥る可能性」が挙げられます。

M&A仲介業者は売り手企業と買い手企業の間で中立的な立場を保つことが求められますが、一方が利益を得て、もう一方が不利益を被ることもあります。

2つ目のデメリットには、「M&Aが実現できないリスク」があります。

M&A仲介業者を利用しても、必ずしもM&Aが成功したり満足な効果が得られたりするわけではないため、選ぶ側にも注意が必要です。

3つ目のデメリットは、「M&A後の経営が買い手次第」という点があります。M&Aで会社を売ってしまうと、売り手側は会社のすべてに対して決定権限を失います。

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相談相手②:士業(弁護士や公認会計士など)

M&Aの相談相手は士業

次のM&Aの相談相手の候補は、士業です。

ここでは、M&Aにおける士業の特徴、メリット、デメリットを解説します。

  1. M&Aにおける士業の特徴
  2. M&Aにおける士業のメリット
  3. M&Aにおける士業のデメリット

M&Aにおける士業の特徴

士業とは、弁護士や公認会計士などの専門家を指します。

M&Aにおける士業の特徴は、それぞれの專門分野の知識を生かしたアドバイスが得られるところです。特に、税務や法律に関するアドバイスを得ることができます

例えば、M&Aにおいて重要な業務を担う士業は以下の通りです。

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 中小企業診断士

弁護士

弁護士は、法律の専門家です。

M&Aにおける弁護士の役割は、顧客となる「株式会社の株主」「経営者の親族」「役員・従業員」「取引先の金融機関者」など、各関係者の利益を考慮しながら調整することです。

そのため、弁護士が代理人として、各関係者との間に入って交渉を行うこともあります。

特に、M&Aにおいては、「株式譲渡」や「事業譲渡」などの手法の選択、「全体的な手続進行のコーディネート」などを行います。

公認会計士

公認会計士は財務・会計の専門家です。

M&Aにおける公認会計士の役割は、「財務書類」「その他財務情報の信頼性の向上」「組織的な社内体制構築への助言や支援」「譲渡スキームの検討・策定等」などがあります。

税理士

税理士は、税務の専門家です。

M&Aにおける税理士の役割は、「税務に関するアドバイス」「税務申告」「税務審査」などの手続きなどがあります。

また、税理士は企業の経営者にとって身近な相談役であり、顧問税理士は企業の実情を把握し、税務・会計にも精通しているため、経営支援なども行うことができます。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営支援の専門家です。

M&Aにおける中小企業診断士の役割は、中小企業の「成長戦略策定」や「その実行のためのアドバイス」などがあります。

他にも、「中小企業と行政・金融機関等をつなぐパイプ役」や「専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援」、更には「経営者に寄り添った精神面でのサポート」など、幅広い活動が求められます。

M&Aにおける士業のメリット

M&Aにおける士業のメリットは、以下の3つが挙げられます。

  1. 専門的な知識がある
  2. 客観的な意見がもらえる
  3. 信頼関係を気づきやすい

1つ目のメリットは専門的な知識が挙げられます。弁護士は法律に関する専門知識、公認会計士は会計に関する専門知識があります。そのため、士業にM&Aの相談をする場合、税務や法律に関するアドバイスを得ることができます。

2つ目のメリットは、士業は中立的な立場から客観的な意見がもらえることです。これにより、M&Aにおいて重要な決定を下す際に、客観的な観点から判断することができます。

3つ目のメリットは、信頼関係を気づきやすいことです。士業は経営者の身近な相談役でもあります。例えば、顧問弁護士や税理士は、専門知識を活かして、企業の経営を支えてくれています。

M&Aに関してより詳しい相談をしたいという方は、各專門分野に特化した士業に相談することをおすすめします。

M&Aにおける士業のデメリット

M&Aにおける士業のデメリットは、以下の3つです。

  1. 費用がかかる可能性がある
  2. 複数の士業が必要になる
  3. 相談内容が限られている

1つ目のデメリットは、費用がかかる可能性が挙げられます。士業は専門的な知識を持っているため、M&Aの相談をする場合、費用がかかるところもあります。そのため、士業を雇用する際は、費用面を見直し、判断する必要があります。

2つのデメリットは、士業は専門分野が異なるため、複数の士業を雇用する必要があります。そのため、費用面での負担や複数の意見をまとめるのが難しくなってしまう場合があるので注意が必要です。

3つ目のデメリットは、相談内容が限られていることです。士業にM&Aに関する内容を相談する場合、異なる専門分野の相談に乗ってもらえない可能性があるので、費用面が厳しい企業は相談相手を再検討する必要があります。

M&Aに関する相談は、本来なら各專門分野に特化した士業に相談するのがおすすめですが、「費用」や「相談内容」など自社の直面している問題を見直した上で、相談相手を選ぶことが重要です。

相談相手③:金融機関

M&Aの相談相手は金融機関

次のM&Aの相談相手の候補は、金融機関です。

ここでは、M&Aにおける金融機関の特徴、メリット、デメリットを解説します。

  1. M&Aにおける金融機関の特徴
  2. M&Aにおける金融機関のメリット
  3. M&Aにおける金融機関のデメリット

M&Aにおける金融機関の特徴

M&Aに関与できる金融機関としては、銀行や証券会社が挙げられます。

M&A(企業の合併・買収)における銀行と証券会社の役割は以下の通りです。

  • 銀行の役割
  • 証券会社の役割

銀行の役割

資金融資

銀行は主に譲受企業に対してM&Aのアドバイザリー業務だけでなく融資も行います。多額の資金が必要となるM&Aでは、資金が潤沢ではない譲受企業にとって魅力的な相談先となります。

M&Aアドバイザリー業務

銀行は財務だけでなく、税務や法務などM&Aの手続き全般に関して、相談からM&A成約までサポートしてくれます。

ただし、銀行のM&Aアドバイザリー業務は、他の相談先と比べ比較的手数料が高く設定されていることや、数億〜数十億円規模のM&Aを主に扱っていることが多いため、必ずしも全ての企業が相談できるわけではありません。

証券会社の役割

仲介役

証券会社は、お金を必要とする企業等や、投資家の資産運用ニーズをつなぐ「仲介役」としての役割を担っています。

これらの役割を理解した上で、それぞれの特性を活かしてM&Aを進めることが重要です。

M&Aにおける金融機関(銀行や証券会社)のメリット

金融機関のメリットは、以下の3つです。

  1. 豊富なネットワーク
  2. 資金調達・融資
  3. M&Aアドバイザリー業務

まず1つ目のメリットは、「豊富なネットワーク」が挙げられます。銀行は多くの法人顧客と取引しているため、大企業から中小零細企業まで幅広いネットワークを持っています。

2つ目のメリットには、「資金調達・融資」があります。銀行は主に譲受企業に対してM&Aのアドバイザリー業務だけでなく融資も行います。多額の資金が必要となるM&Aでは、資金が潤沢ではない譲受企業にとって魅力的な相談先となります。

3つ目のメリットは、「M&Aアドバイザリー業務」があることです。銀行は財務だけでなく、税務や法務などM&Aの手続き全般に関して、相談からM&A成約までサポートします。

M&Aにおける金融機関(銀行や証券会社)のデメリット

金融機関のデメリットは、以下の3つです。

  1. 中立的なアドバイザリーサービスが困難
  2. 専門知識を持った人材が不足
  3. 大規模なM&A案件に限定する傾向

まず1つ目のデメリットは、「中立的なアドバイザリーサービスが困難」ことが挙げられます。

銀行・証券会社などにおける金融資本のM&Aアドバイザー部門では、顧客内で取引を進めようとするため、中立的なアドバイザリーサービスが困難な場合があります。

2つ目のデメリットには、「専門知識を持った人材が不足」がある場合があります。

地方銀行にはM&Aについての専門知識を持った人材が充分でなく、アドバイザーというより、あくまでも仲介・紹介業務に徹しているケースがほとんどです。

3つ目のデメリットは、「大規模なM&A案件に限定する傾向」があります。

メガバンクや外資系投資銀行は地方銀行と比べ、積極的にM&A支援を行っています。しかし、大規模なM&A案件に限定する傾向があり、中小企業がM&Aアドバイザリー業務を依頼しても断られる可能性があります。

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相談相手④:公的機関

M&Aの相談相手は公的機関

最後にのM&Aの相談相手の候補は、公的機関です。

ここでは、M&Aにおける公的機関の特徴、メリット、デメリットを解説します。

  1. M&Aにおける公的機関の特徴
  2. M&Aにおける公的機関のメリット
  3. M&Aにおける公的機関のデメリット

M&Aにおける公的機関の特徴

M&Aに関与できる公的機関としては、主に中小企業庁や地方自治体があります。

公的機関がM&Aにおいて果たす主な役割は以下の通りです。

  • M&A支援機関の登録制度
  • 情報提供受付窓口の設置

M&A支援機関の登録制度

中小企業庁は、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するため、M&A支援機関に係る登録制度を創設しました。

この制度では、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)において、M&A支援機関の活用に係る費用(仲介手数料やフィナンシャルアドバイザー費用等)について、予め登録されたM&A支援機関の提供する支援に係るもののみを補助対象となります。

情報提供受付窓口の設置

登録されたM&A支援機関による支援を巡る問題等を抱える中小企業等からの情報提供を受け付ける窓口を設置しています。

M&Aにおける公的機関のメリット

公的機関のメリットは、以下の3つです。

  1. M&A支援機関の登録制度
  2. 情報提供受付窓口の設置
  3. 中小企業へのM&A推進計画

まず1つ目のメリットは、「M&A支援機関の登録制度」が挙げられます。この制度により、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築することができます。

2つ目のメリットは、「情報提供受付窓口の設置」があります。中小企業からの情報提供を受け付ける窓口を設置しているため、気軽な相談先としておすすめです。

3つ目のメリットには、「中小企業へのM&A推進計画」があります。中小企業庁は、「中小M&A推進計画」を策定し、今後5年間に実施すべき官民の取組を推進しています。

M&Aにおける公的機関のデメリット

公的機関のデメリットは、以下の3つです。

  1. 手続きが複雑
  2. 専門知識を持った人材が不足
  3. 大規模なM&A案件に限定する傾向

まず1つ目のデメリットは、「手続きが複雑」なことが挙げられます。公的機関でのM&Aは、理事の3分の2以上の賛成や、定款で評議会の議決が必要とされている場合は、評議会の議決も必要となります。

2つ目のデメリットには、「専門知識を持った人材が不足」があります。公的機関では、M&Aについての専門知識を持った人材が充分でなく、アドバイザーというより、あくまでも仲介・紹介業務に徹しているケースがほとんどです。

3つ目のデメリットは、「大規模なM&A案件に限定する傾向」があります。

公的機関は地方銀行と比べ、積極的にM&A支援を行っています。しかし、大規模なM&A案件に限定する傾向があり、中小企業がM&Aアドバイザリー業務を依頼しても断られる可能性があります。

M&Aの相談内容

M&Aの相談内容

M&Aの相談内容は、各企業によって異なります。ここでは、「売り手側の企業」と「買い手側の企業」の2つに分けて解説します。

  1. 売り手側の企業の相談内容
  2. 買い手側の企業の相談内容

売り手側の企業の相談内容

売り手側の企業の相談内容は、以下の通りです。

売り手側の企業の相談内容一覧
  • 企業価値の評価は?:「自社の価値をどのように評価するか」「適正な価格は何か」など
  • M&Aのタイミングはいつ?:「いつ売却すべきか」「市場環境は適しているか」など
  • 情報の開示は必要か?:「どの程度の情報を開示すべきか」「情報漏洩を防ぐための対策は必要か」など
  • 買い手企業が見つかるかどうか?:「条件に合った買い手企業があるか」
  • 売却金額はいくらか?:「適正価格はいくらか」「交渉によってどのくらい変わるのか」など

以上の売り手側の企業の相談内容を参考にして、自社に合った相談相手に、企業の課題やM&Aに関する分からない情報を相談してみることをおすすめします。

買い手側の企業の相談内容

買い手側の企業の相談内容は、以下の通りです。

買い手側の企業の相談内容一覧
  • 買収の目的は?:「M&Aによる成長戦略」「新市場への参入」「技術・人材獲得」など買収目的の明確化
  • 買収の対象企業はある?:対象となる「業種」「地域」「企業規模」などの希望条件
  • 買収に必要な資金はいくら?:買収に必要な「資金の調達方法」や「財務計画」など
  • 統合後の戦略は?:「M&A後の事業展開」や「組織・文化の統合」など
  • M&Aにかかる期間は?:案件に寄って異なり、「正式なプロセスなら約6ヶ月〜1年程度」「長期化したらは2〜3年」

以上の買い手側の企業の相談内容を参考にして、自社に合った相談相手を見つけ、「どんな企業を買収したいのか?」「自社が求めている事業があるのか?」を相談してみることをおすすめします。

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M&Aの相談にかかる料金

M&Aの相談にかかる料金

M&Aの相談にかかる料金は、相談先やサービス内容により異なりますが、売り手側と買い手側で料金が異なることは基本的にありません。どちらの側でも、M&Aの相談やアドバイザリーサービスを利用する際には、そのサービス内容や範囲に応じて料金が発生します。

M&Aの相談については、一部の機関では無料で相談を受け付けています。しかし、具体的なアドバイスやサポートを求める場合、またはM&A取引を進める場合には、通常は料金が発生します。

具体的な料金体系は以下の通りです。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 中間金
  4. 成功報酬
相談料

一部の機関では初回の相談が無料です。しかし、具体的なアドバイスやサポートを求める場合には、通常は相談料が発生します。

相談料は30分まで5,000円前後、1時間まで1万円前後が一般的です。

着手金

M&A仲介会社へ正式な依頼を行った後に支払う費用です。

着手金は無料の場合と100万円~200万円程度がかかる場合に分かれます。

中間金

M&Aのプロセスがある程度進行した時に支払う費用です。

中間金は、以下の3つのパターンに分類されます。

  • 無料
  • 100万円程度の固定報酬が発生する
  • 成功報酬の10%~20%程度が発生する

成功報酬

M&Aの最終契約締結後に支払う費用です。M&Aの金額を元にレーマン方式と呼ばれる計算式で成功報酬が計算されるケースがほとんどです。

少額のM&Aの場合では、M&A金額に5%程度の手数料率を乗じて計算された金額が相場となります。

M&Aの相談相手の選び方

M&Aの相談相手の選び方

M&Aの相談相手は以下の5つの条件から選択することをおすすめします。

  1. M&Aの規模で選ぶ
  2. 自社との相性で選ぶ
  3. M&Aの経験や実績で選ぶ
  4. M&Aの料金体系で選ぶ
  5. M&Aの専門性で選ぶ

M&Aの規模で選ぶ

M&Aの規模によって相談相手を選ぶことは一般的です。規模が大きいほど、より専門的な知識や経験が必要となるため、大手の金融機関や専門のM&Aアドバイザリーファームを選ぶことが多いです。

一方、規模が小さい場合や地域密着型のM&Aを行う場合は、地方銀行や地元の公的機関、中小企業向けのM&A仲介会社を選ぶことが多いです。

具体的には以下のように分類されます。

  1. 大規模なM&A:年商10億円超の企業や上場企業
  2. 中規模なM&A:年商3億円超10億円以下の企業
  3. 小規模なM&A:年商3億円以下の企業
大規模なM&A:年商10億円超の企業や上場企業

大手の金融機関や専門のM&Aアドバイザリーファームを選びます。これらの機関は、大規模なM&A取引に対応するための豊富な経験と専門知識を持っています。

中規模なM&A:年商3億円超10億円以下の企業

中堅の金融機関やM&A仲介会社を選びます。これらの機関は、中規模なM&A取引に対応するための経験と知識を持っています。

小規模なM&A:年商3億円以下の企業

地方銀行や地元の公的機関、中小企業向けのM&A仲介会社を選びます。これらの機関は、小規模なM&A取引や地域密着型のM&Aに対応するための経験と知識を持っています。

自社との相性で選ぶ

自社との相性でM&Aの相談相手を選ぶ場合、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 信頼性
  • コミュニケーション
信頼性

M&Aは企業にとって重要な決定であり、その結果は企業の将来に大きな影響を与えます。したがって、信頼できる相談相手を選ぶことが最も重要です。

コミュニケーション

M&Aのプロセスは長期間にわたるため、良好なコミュニケーションが必要です。自社のビジョンや目標を理解し、それに基づいてアドバイスを提供できる相談相手を選ぶことが重要です。

M&Aの経験や実績で選ぶ

M&Aの相談相手を選ぶ際に、その経験や実績を判断する方法は以下の通りです。

  • 過去の取引実績
  • クライアントの評価
過去の取引実績

M&Aの経験や実績は、その相談相手が過去にどのような取引を成功させてきたかを確認することで判断できます。具体的には、過去の取引の数や規模、業種、取引形態(買収、合併、事業譲渡など)を確認します。

クライアントの評価

過去のクライアントからの評価やフィードバックも重要な判断材料です。具体的には、その相談相手がクライアントからどのような評価を受けているか、またその理由は何かを確認します。

M&Aの料金体系で選ぶ

M&Aの相談相手を料金体系で選ぶ場合、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 料金体系の透明性
  • 費用対効果
  • 自社の予算
料金体系の透明性

M&Aの相談相手が明確な料金体系を提示しているかどうかを確認します。料金体系が明確であればあるほど、予期せぬ追加費用が発生するリスクを避けることができます。

費用対効果

料金だけでなく、その料金に見合ったサービスが提供されるかどうかも重要です。具体的なサービス内容や提供方法、過去の取引実績などを確認し、その料金に見合った価値があると判断できる相談相手を選びます。

自社の予算

自社の予算に合った相談相手を選ぶことも重要です。M&Aの相談には一定の費用がかかりますが、その費用が自社の予算を超えてしまっては意味がありません。

M&Aの専門性で選ぶ

M&Aの相談相手を選ぶ際には、以下の専門家が考慮されます。

  • 税理士・会計士・弁護士
  • 金融機関
  • M&Aアドバイザー
税理士・会計士・弁護士

M&Aでは税務・財務に関するアドバイスが必要となります。税理士や会計士は、これらの領域での専門的なアドバイスを提供できます。

法律関連のアドバイスが必要な場合、弁護士に相談することができます。

金融機関

M&Aでは多額の資金が動くため、金融機関に資金面での相談をすることもあります。

M&Aアドバイザー

M&Aアドバイザーは、M&Aそのものをビジネスにしているため、専門知識やアドバイスには全てに応えてくれます。

それぞれの専門家には一長一短があります。

例えば、税理士や会計士は税務・財務についての専門的なアドバイスを提供できますが、M&Aに詳しい税理士や会計士は限られています。

同様に、弁護士は法律関連のアドバイスを提供できますが、M&Aに精通している弁護士は少ないかもしれません。

一方、M&AアドバイザーはM&Aそのものをビジネスにしているため、全ての問題に対応することができます。しかし、客観的な視点で相談に応じてもらえるかどうかは注意が必要です。

したがって、どちらが良いかはケースバイケースです。自社のニーズと各専門家の強み・弱みを考慮して選択することが重要です。

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M&Aの相談をする際の注意点

M&Aの相談をする際の注意点

M&Aの相談をする際の注意点は以下の通りです。

  1. 相談相手の專門分野を意識する
  2. 自社の情報漏えいに注意する
  3. むやみに相談相手を増やさない

相談相手の專門分野を意識する

M&Aの相談をする際は、相談相手の得意分野が異なる点に注意しましょう。

例えば、財務専門家には財務状況や評価に関する質問を、法律専門家には契約や法規制に関する質問をすると良いでしょう。

それぞれの専門家が持っている知識と経験を最大限に活用することで、より具体的で有益なアドバイスを得ることができます。

自社の情報漏洩に注意する

M&Aの相談をする際は、自社の機密情報を漏らさないよう注意しましょう。

具体的な業績データや戦略、技術情報などは競争上有利な情報であり、これらが漏れると自社に不利益をもたらす可能性があります。

したがって、情報開示は必要最小限にとどめ、必要な場合は秘密保持契約(NDA)を結ぶなどして情報保護に努めましょう。

相談相手を増やさない

M&Aの相談をする際は、なるべく相談相手を増やさないように注意しましょう。

相談相手が多すぎると情報管理が難しくなり、情報漏えいのリスクが高まる可能性があります。

また、多くの意見を聞きすぎると判断が難しくなることもあります。必要な専門家だけを選んで相談し、効率的かつ効果的な意思決定を目指しましょう。

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