中小企業と大企業の違い 経営手法とコンサルティング手法

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中小企業と大企業の違い 経営手法とコンサルティング手法

中小企業と大企業の8つの違い

中小企業と大企業の違いは、売上高の大きさや従業員の数など、規模が異なる。それにより、各々の経営手法は大きく異なり、そのためコンサルティング手法も大きく異なる。大企業と異なる中小企業の特徴は、以下7点である。

【中小企業の特徴(大企業との違い)】

1.所有と経営の一致

2.経営体制不備、社長の役割大きい

3.組織体制未整備

4.設備投資で問題解決できない

5.経営資源が乏しい

6.戦略より戦術が重要

7.「利益額」より「利益率」を重視

8.ブランド力が弱い

市場環境の変化に取り残される中小企業

かつての大量生産、大量消費の時代は、モノが不足し、市場に出回るのは大企業の製品が中心で、競合他社も少ない状態であった。市場に出回る情報が少なく、メーカー側と消費者側で情報格差も大きいため、消費者の選択肢は少なく、メーカーと消費者は「1対多」の関係であった。

さらに、消費者は物欲が強く、より良いモノを追い求める一方、顧客ニーズは画一的で、メーカーは「作れば売れる」「商品を出せば売れる」、そして営業マンは飛び込みでも「行けば売れる」時代であった。

しかし現在は、モノは溢れ、モノの高品質化・低コスト化が進み、高品質は当たり前で、かつての消費者が求めた「便利なモノ」や「美味しいモノ」が簡単に手に入るようになったそのため消費者の物欲は弱まり、本当に欲しいものだけを求めるようになっている。

また、ネット社会で情報は溢れ、消費者は簡単に情報を入手できる環境になったため、消費者の見る目は向上して情報の格差が縮小し、ニーズも多様化している。

そしてスマホ1つで世界中の人々と1対1でつながる時代になり、そして市場はグローバル化、異業種参入で競争相手は世界に拡大し、ますます高機能競争と低価格競争が激化している。さらに、新型コロナウィルスの影響、ロシアのウクライナ侵攻など、市場環境や世の中の価値観も激しく変化している。

このような環境の変化の中、日本の国力は低下してかつての輝きを失い、世界規模での競争力は大きく低下している。国内も少子高齢化が進行し、国内市場も今後ますます悪化することは確実である。そのため、消費者の購買傾向は今後も「安さ」と「自身にとって価値のあるモノ」の二極化が進行するであろう。

このような中、大企業は、仕入コストと生産コストを抑え、高機能な製品を低価格で販売できる体制を構築している。そのため中小企業は、大企業に価格競争を挑んでも絶対に勝ち目はない。独自の「価値」を見出し、多様化するニーズに対応して、絞り込んだターゲットに向けて、高価格で販売しなければ、今後生き残ることは難しい。

中小企業と大企業では、実は経営の参考書等では書かれていない様々な違いがある。そして経営に関する参考書、ビジネス書に書かれている内容の多くは大企業に関するものであり、中小企業には当てはまらないケースも少なくない。

例えば、事業デューデリジェンス(ビジネスデューデリジェンス。事業に関する調査報告書を作成するコンサルティング)では、大企業の場合、市場環境や競合他社情報といった「外部環境分析」が中心であるが、一方で中小企業の場合は「内部環境分析」が重要となる。

なぜなら、中小企業は自社の問題点や強みを抽出し、経営改善や業務改善、そして強み活用の成長施策を実施しなければ、業績は改善せず、企業価値も向上しないからである。

違い①:所有と経営の一致

大企業の場合、企業を所有しているのは株主で、多くの大企業の社長は株主ではなく「サラリーマン社長」であり、株主から経営を任されて事業を運営しているため、所有と経営が分離されている。

そのため、業績を悪化させても社長の責任の範囲は限定的で、社長職を退任すればいいだけである。持ち家などの資産や個人の預貯金など、個人の財産を取り上げられることはない。

しかもしっかりと退職金を手にすることができる。つまり大企業の責任の取り方は「退任」であり、個人的に被害を受けることはないのである。

一方で中小企業は大企業と異なり、経営者が大株主で大半の株を保有している。それゆえ経営者個人と企業は一体と見なされる。

さらに、中小企業が銀行から融資を受ける際、経営者個人が連帯保証人となるため、業績悪化で借入の返済ができなくなった場合、経営者自身が個人の預貯金や、持ち家・土地などの不動産を売却してでも、会社の借入を返済しなければならない。

「退任」だけでは済まされないのである。

そのため資金繰りが厳しくなり、金融機関から借入できない状況に陥った場合、経営者の個人資金を会社に投入したり、経営者個人で借入をして会社に投入したりするケースもある。

さらに、家族や親せき、知人から借入することも行われており、もし倒産してしまうと、経営者以外の関係者個人にも多大な損害を与えてしまう。

このように中小企業の経営者にとって、経営は生活のすべてなのである。

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違い②:経営体制不備、社長の役割大きい

中小企業の多くは、単一或いは少数の事業体であり、規模も小規模である。そのため、市場が安定していれば、現場のルーチン業務を回すだけで事業は成り立ち、戦略がなくても経営は持続できる。

しかし市場環境の変化が激しい昨今では、常に自社と顧客、競合の状況をつかみながら経営判断を行うことが求められる。市場を捉え、機動的かつ戦略的に事業を運営していなければ、環境変化には対応できず、競争には勝ち残ることが難しい。

しかし中小企業は、統制が取れておらず、新たな方針や戦略を打ち出しても現場が動かない場合が多い。また、経営者を補佐する幹部が不在で、すべて社長の判断し、社長自身が行動を起こさなければ改革は難しい。

このように中小企業は、経営体制に不備があり、社長自身の役割も大きいため、業績は社長自身の力量次第であるとも言えるのである。

違い③:組織体制未整備

中小企業の多くは組織体制が十分に整備されていない。

例えば、管理者は不在かプレイヤーのため、部門全体の統制や管理が機能していない。そのため、現場で問題が発生しても、各部門独自で改善することができず、問題が放置されてしまう。

また、役割が不明確で業務が属人的で、社員は個人の都合で勝手に業務範囲を決めてしまうため、現在担当している業務以外は上司の指示があってもやろうとしない。

そのため、組織としての機動力が落ち、市場や顧客の状況に合わせた柔軟な対応ができない。

その他、育成にも大きな問題がある。大企業では、OJTの体制が取れていて部下の教育は上司や先輩の仕事の一部となっているが、中小企業では育成は個々の社員に任され、放置されるケースもある。マニュアルも整備されていない場合も多いため、社員の成長スピードが遅く、スキルが低いまま業務を続ける社員も多いのが現状である。

このように中小企業は、人材や組織体制の柔軟性が低く、日常のルーチン業務を回すだけの組織に陥っている場合が多い。その結果、組織が硬直化し、改革や業務改善、環境変化への対応が困難になっているのである。

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違い④:設備投資で問題解決できない

経営手法だけでなく、コンサルティングの手法としても、特に事業再生コンサルティングでは、基本的に大企業と中小企業の再生手法は大きく異なる。

大企業の再生手法は、スポンサーなどが資金を提供し、設備投資で再生を実現できるケースが多い。

例えば製造業では、設備を最新のものに一新させて生産性を一気に向上させ、1製品当りの固定費削減で原価を低減させれば、利益を出せる企業に生まれ変わらせることが可能である。

資本集約型のビジネスモデルは、機械化による大量生産が前提のため、いかに生産性を上げるかが収益性のポイントになる。また、大規模旅館では、施設を付加価値の高い独自の世界観の建物に再建することで、閑古鳥が鳴く旅館から、大繁盛旅館へ一気に生まれ変わることも可能である。

このようにポイントとなる箇所に資金を投入すれば、短期間で業績をV字回復させることができるのである。

一方で中小企業の再生企業の場合は、設備投資する資金を受けられることはほとんどないため、大企業のように設備投資で一気に再生させることは困難である。そのため、現行の経営資源の中で、地道に再生させなければならない。

具体的には、細かい問題点を1つ1つ解決して、徹底的に経営の見直しや、業務の生産性向上および品質向上を目指す。また、自社の強みを1つ1つ抽出して真の強みを見出し、その強みを磨き上げ、市場に浸透させてブランド力を向上させて、収益力を回復させるのである。

そのため、中小企業はコストをかけず、新たな人材を増やすことなく、現状の経営資源の中で丁寧に施策を実施していくという地道な作業が必要になる。そのためには、様々なアイデアで具体的な戦術を練り上げることが重要なのである。

違い⑤:経営資源が乏しい

中小企業は大企業と比べて、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源が圧倒的に乏しい。

まずは「ヒト」について、社員数が少ないにも関わらず、OJTのしくみが不十分なため、社員の成長スピードが遅く、スキルにもムラがある。IT化も遅れており、パソコンを苦手とする社員も多くいる。また、業務内容は「作業」が中心で、日々作業に追われているため、全般的に、戦術の構築などの「思考」の業務を苦手である。

「モノ」については、施設や設備が不十分で、かつ老朽化しているケースも多いため、生産性が低い。そのため、大量生産など設備投資が必要な資本集約型産業では中小企業は圧倒的に不利と言える。また開発部門がないため、トップの意識が低ければ新商品開発が長期間行われない場合も少なくない。

「カネ」については、内部留保と呼ばれる会社内部の現預金は圧倒的に乏しく、正常企業でも赤字が連続するとすぐに資金繰りが厳しい状況に陥ってしまう。また、資金調達の手法が借入などに限定されるため、借入過多の企業も多い。

最後に「情報」では、特に業績などの内部情報が未整備のため、必要な情報を経営に活かせていない。例えば、試算表を発行しない企業が多く、毎月の業績を把握していないため、業績が低迷していてもその深刻度が理解できず、対策が先送りしがちになる。また、原価管理も不十分で、商品別の原価を算出せずに値付けをしていることも多い。

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違い⑥:戦略より戦術が重要

戦略とは目的(売上や利益、企業価値向上など)を達成するための「方向性」で、戦術とは構築した戦略(方向性)に沿った具体的な手法を意味する。

一般的には「戦術より戦略が重要」というのが、ビジネス書などによる経営のセオリーである。

確かに大企業にとって重要なのは「戦略」である。なぜなら、企業規模が大きいため、外部環境や業界の成長サイクル(幼年期・成長期・成熟期・衰退期)に大きく影響されるからである。

そして経営者や幹部が戦略を立て、現場の社員が、戦略に沿った戦術を構築していくのが大企業の一般的な姿である。

一方で中小企業は、「戦略」より「戦術」を重視しなければならない。

もちろん、戦略が大前提となるのですが、中小企業は規模が小さいため、戦術を駆使することで一気に業績を向上させることが可能だからである。

つまり、成熟期や衰退期の業種であっても、優れた戦術によって業績を向上させることは十分に可能なのである。そのため、戦略構築に時間や労力をかけるのではなく、具体的に何をするかという戦術に注力し、時間と労力と知恵を集中させることが重要である。

なお、大企業では戦略は幹部、戦術は社員が構築するというように分担するが、中小企業では、戦略だけでなく戦術も経営者や経営幹部が構築する必要がある。それは前述のとおり、中小企業には戦術という「思考」の業務を担う社員がほとんどいないからである。

違い⑦:「利益額」より「利益率」を重視

「利益額重視」と「利益率重視」のビジネスモデルの違い

「利益額重視」のビジネスモデルとは、日用品など、主に不特定多数の顧客に対して、安価で低利益率の商品を大量に販売するモデルである。

企業が儲けるためには最低でも固定費を賄わなければならないが、低い利益率でも大量に販売することで、固定費以上の利益を獲得できるわけである。利益額重視の商品は、例えば、BtoC(一般消費者に販売)や競争の激しい商品、付加価値の低い商品がある。

一方で「利益率重視」のビジネスモデルとは、限られた顧客に対して、比較的高い価格、高い利益率で少量販売を行うモデルである。

利益額重視モデルと異なり販売数は少ない。そのため、小さい売上でも固定費を賄えるだけの利益を獲得するためには、1つの商品を高利益率で販売しなければならない。

例えば、特注品や、受注生産、高付加価値製品、そして工事案件などである。

中小企業は価格競争に勝てないため「利益率」を重視

大企業に比べて設備や資金が圧倒的に少ない中小企業は、基本的に「利益率」を重視した商売をすることが求められる。しかし実際には、大企業と同じ土俵の価格競争に巻き込まれて安売りを行い、売上は向上しても必要な利益が獲得できずに赤字に陥るケースが多く見られる。

価格競争では中小企業は大企業には勝てない。なぜなら、大企業は原材料の大量でボリュームディスカウントを受けることができ、また最新の設備でシステム化・自動化も進んでいるため、少ない作業員で、短時間当たりの生産量を増やせるため、1個当りの原価を大幅に低く抑えて生産・販売することができるからである。

そのため中小企業は、販売数が少なくても、ターゲットを絞り込み、そのターゲットに対して付加価値を付け、高利益率となる高い値付けで販売することが求められる。

ただし実際には、「高利益額」か「高利益率」かは、細かくは企業規模ではなくビジネスモデルの問題になる。そのため、その企業のビジネスモデルを見極める必要がある。

例えば、中古車販売事業と自動車整備・鈑金事業の2つの事業を運営している企業があったとする。中古車販売の場合、単なる「仕入販売」であり商品の付加価値を付けることが難しいため、高い利益率で勝負することはで困難である。そのため、コストを抑え、販売数を増やして利益額を獲得していく必要がある。

一方で整備・鈑金事業の場合、高い技術力等で付加価値を付けて差別化することができるため、数を増やすのではなく、1案件ごとに必要の利益率を獲得していくことが求められるのである。

このように事業を評価するには、事業別にビジネスモデルを評価していくことが重要となる。

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違い⑧:ブランド力が弱い

中小企業はブランド力が弱く、成長戦略の実現が困難

中小企業は大企業と比べてブランド力が低い。もちろん中小企業で高いブランド力を誇る企業も数多くあるが、ブランディングに対して意識的に取り組む企業も少ないのが現状である。

「ブランド」とは、簡単に言うと「企業の価値イメージ」である。そして「ブランディング」とは「価値の向上・浸透活動」を意味する。そして「ブランド力が高い」ということは「企業や商品の価値が高く、その価値が市場に浸透している状態」である。

中小企業は大企業と比べて、企業や商品の価値が十分ではなく、価値が浸透していない。これは簡単に言うと「いい商品が少なく、知名度が低い」ということである。

知名度が低いと、市場では企業としての信頼度が低いと認識され、また顧客の購入タイミングで候補の土俵に上がることがないため、圧倒的に新規顧客を取り込むことが難しくなる。

例えば、食品加工メーカーの場合、大企業は新商品を開発すれば全国の各スーパーの棚に一気に陳列される。一方で知名度の低い中小企業が新商品を開発しても、なかなかスーパーで取り扱ってくれない。そのため地元のスーパーから1店舗ずつ営業をかけていいかなければならない。

このように、ブランド力が弱いということは、売上アップや成長戦略の実現が難しくなるのである。

中小企業のブランド力の実態

中小企業のブランド力が弱い要因は様々である。

例えば、そもそも強みが乏しいだけでなく、自社の強みを理解していない企業も多く存在する。また、品揃えが少なく、発信力も低いので、市場の中でターゲット顧客に接する機会も少なくなる。その他、商品開発力が弱く、大企業では定期的に新商品が開発されるが、中小企業は品開発を行う部門もなく、人材もほとんどいない。

さらに、市場を浸透させていくための発信力が乏しく、SNS等を活用した情報発信力も弱い。価値を浸透させる活動を行う営業マンも少なく、販路も限定されている。

このように、中小企業はブランド力が低く、ブランド力を向上させることは容易ではない。ブランド力を向上させるには、これらさまざまなハードルをクリアしていく必要がある。

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