M&Aのティーザーとは?【ノンネームシートとの違いについて解説】

M&Aは、ビジネスの世界で頻繁に行われる取引ですが、その取引の初期段階で重要な役割を果たすのが「ティーザー」と「ノンネームシート」です。

この記事では、M&Aのティーザーについてやノンネームシートとの違いについても解説します。これからM&Aの取引を検討している方、あるいはM&Aに関する知識を深めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

目次
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M&Aのティーザーとは?

M&Aのティーザーとは

M&Aのプロセスにおいて、ティーザーは重要な役割を果たします。

ティーザーは、潜在的な買収対象企業の関心を引き出すことを目的とした資料であり、投資銀行などによって作成される3ページから10ページ程度の簡易な提案資料です。

ティーザーは、ノンネームシートよりも多くの情報を提供し、M&A案件の魅力を買収対象企業の魅力を効果的に伝えることができます。

ティーザーの内容

ティーザーはターゲット企業名の秘密を維持しながら、多くの情報を明らかにし、買収対象候補の初期的な関心を引き出すことが重要です。

ティーザーの主な内容配下の通りです。

ティーザーの内容

  • ターゲット企業の事業内容:
    主要な事業エリア、製品やサービスの概要、事業モデルを明確にする
  • 財務状況:
    財務の健全性、収益性、キャッシュフローの状況など、基本的な財務データ
  • 課題と改善余地:
    現在の課題とそれに対処するための可能な改善策(市場の課題も含まれる)
  • 成長ポテンシャル:
    企業の将来の成長の見通しや実現するための戦略の説明
  • 属する市場の動向:
    属する市場の現状と将来の動向、市場のサイズや成長率、市場の構造など
  • 競合企業:
    主要な競合企業の概要と、ターゲット企業が競合環境の中でどのような位置にいるのかを評価
  • 買収対象企業の経営戦略や経営資源など:
    経営陣の背景、経営戦略、経営資源の可用性などについての情報

ティーザーは、潜在的な買収候補に対してターゲット企業の基本情報を効果的に伝えることを目的としています。

これにより、買収候補者は初期の段階で企業の魅力と可能なシナジーを理解し、さらに詳細な調査のための興味を持つことができます。

ティーザーの内容は、ターゲット企業の全体像を簡潔かつ明確に描くことが求められ、買収候補者の関心を引き出すキャッチーな要素を含むことが重要です。

ティーザーが検討されるタイミング

ティーザーが検討されるタイミングは、ノンネームシートが提供された後、さらに具体的な情報を提供する目的で作成・提供されることが多いです。

ティーザーはM&Aプロセスの初期段階で重要な役割を果たし、ターゲット企業の魅力を効果的に買収対象企業に伝えることが求められます。

ティーザーの作成を依頼する際の注意点

ティーザー作成は、ターゲット企業や市場について広く深い知識を持っている必要があり、ティーザーの内容に欠陥がある場合、M&A助言の失敗が確定しかねないため、担当者の変更依頼も検討するべきです。

通常、投資銀行では経験豊富なディレクターがティーザーの作成や最終調整を行い、ティーザーを通じた初期的提案内容を慎重に吟味します。

ティーザーを作成は、M&Aの相談相手(専門家)の力量が明瞭に反映されます。

例えば、ティーザーを作成しながら、「企業概要書(IM)の作成」「買収対象企業の候補の検討」などすべての検討結果を凝縮して提供してくれるM&Aの業者とそうでない業者があります。

企業概要書(IM)とは?

決まったフォーマットがあるわけでありませんが、対象企業・事業の概要、沿革、過去の財務諸表と変動要因分析、市場環境分析、将来の事業計画などの売却対象の企業や事業等に関する詳細な情報を記載した資料のことです。

M&Aの相談や依頼は、自社の条件にあった業者を選ぶことをおすすめします。

M&Aのノンネームシートとは?

M&Aのノンネームシートとは

M&Aのプロセスにおいて、「譲受企業が最初に検討する情報がまとめられた資料」がノンネームシートです。

ノンネームシートは、譲渡企業の基本情報を確認することができますが、その企業の識別情報は保護される特徴があり、ノンネームシートは、譲渡企業の概要を理解し、さらに詳細な情報を求めるかどうかの判断材料にもなります。

ノンネームシートの内容

ノンネームシートは、許される範囲の譲渡企業の情報を知ることができる資料です。

譲渡企業の情報を保護し、信用不安を避けるために、ノンネームシートには、基本的に匿名で情報を提供します。

ノンネームシートの主な内容は以下の通りです。

ノンネームシートの内容

  • 業種とエリア:
    譲渡企業が活動する業界と地域
  • 事業の特徴:
    企業の主要な事業活動、製品やサービスの概要、事業モデル、市場での独自性を説明
  • 業績財務情報:
    基本的な財務データを提供し、企業の財務健全性と収益性など
  • 従業員数:
    企業の規模を示すための従業員の総数
  • 譲渡理由:
    企業の譲渡を検討している理由(経営資源の集中、事業再編、または他の戦略的な考慮事項が含まれる)
  • 譲渡価格や条件:
    譲渡価格や条件に関する基本的な情報
  • その他の情報(公開できる範囲の情報)

ノンネームシートは、買収候補者に対して譲渡企業の基本的な情報を提供し、さらなる興味と調査を促すことを目的としています。

これにより、買収候補者は、譲渡企業の基本的なビジネスと財務の健全性を理解し、買収の可能性を初期に評価することができます。

ノンネームシートは、譲渡企業の機密情報を保護しながら、買収候補者に必要な基本情報を効果的に伝える重要なツールです。

ノンネームシートが提供されるタイミング

M&Aのプロセスにおいて、ノンネームシートは、「初期段階」で提供されます。

ノンネームシートの提供により、譲受企業は譲渡企業の概要を理解し、さらに詳細な情報を求めるかどうかを判断することができます。

ノンネームシート後のプロセスとしては、より詳細な検討を行うために企業概要書(IM:Information Memorandum)の提供があります。

企業概要書の提供は、譲渡企業のオーナーの「開示許可」と「秘密保持契約」が前提となります。

実際に詳細な情報開示を行う際は、「秘密保持契約を締結」を行います。これは情報の漏洩を防ぐためであり、守秘義務契約に違反すると法的問題が生じる可能性があるので注意が必要です。

ノンネームシートは、M&Aプロセスの初期段階で譲受企業に譲渡企業の基本情報を提供する重要な資料です。

譲渡企業の匿名情報を提供することで、譲渡企業の情報保護と信用不安の回避が図られます。ノンネームシートの提供後、譲受企業はさらに詳細な情報を求めるかどうかを判断し、企業概要書(IM)の提供を受けるために必要な手続きを進めることができます。

以上のプロセスは、M&A取引の成功に向けて信頼と透明性を確保するために非常に重要です。

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M&Aのティーザーとノンネームシートの違い

ティーザーとノンネームシートの違い

結論から言うと、ノンネームシートはティーザーと同じものを指す場合が多いです。ただし、地域や業界、取引の状況によって使われる用語が異なる場合があります。

M&Aのプロセスにおいて、ィーザーとノンネームシートは同じものを指し、基本的には初期段階の資料として用いられる場合が多いです。

ただし、内容や使い分け、文書の長さなどちょっとした違いがあります。

ティーザーとノンネームシートの内容の違い

ティーザーは、ターゲット企業の事業内容、財務状況、市場動向、成長ポテンシャルなどを含む可能性があります。一方、ノンネームシートは、業種、エリア、事業の特徴、業績財務情報、従業員数、譲渡理由など基本的な情報を提供します。

ティーザーとノンネームシートの使い分け

ノンネームシートは同業他社にM&Aを提案する際や最低限の情報が必要なケースで用いられることがあります。一方、ティーザーは同業以外のケースや、多くの情報量が必要なケースで用いられます。

ティーザーとノンネームシートの文書の長さ

一般的に、ノンネームシートは短く、ティーザーはより長い資料となる可能性があります。しかし、多くのM&Aサービスでは、ティーザーとノンネームシートを同様に扱い、A4用紙1枚程度の情報量となるのが一般的です。

ティーザーとノンネームシートは、M&Aプロセスの初期段階で重要な役割を果たし、それぞれが特定の目的と対象者に合わせて使い分けられます。

これらの違いを理解し、適切なタイミングと状況でそれぞれの資料を使用することは、M&Aプロセスを円滑に進める上で重要であり、ターゲット企業や買収候補者に対して適切な情報を提供することができます。

ティーザーとノンネームシートの確認後のプロセス

ティーザーとノンネームシート確認後のプロセス

ティーザーおよびノンネームシートの後のプロセスには、いくつかの段階が含まれており、各段階を明確に理解し、十分に準備することが重要です。

買い手と売り手の両方が効果的にプロセスを進めるためには、各段階のプロセスを明確に理解し、準備が必要があります。

この章では、「ティーザーとノンネームシートの提供後のプロセス」と「注意点」について解説します。

ティーザーとノンネームシートの確認後のプロセス

企業のM&Aにおいて、ティーザーとノンネームシートが確認された後のプロセスは、以下のように進行します。

ティーザーとノンネームシートの確認後のプロセス

  1. 秘密保持契約:
    さらに詳細な情報を共有する前に秘密保持契約を行う
  2. 企業概要書(IM)の開示:
    買い手には売り手企業に関するより詳細な情報(企業概要書)が提供される
  3. 初期のミーティング:
    買い手と売り手は、それぞれの期待や評価、取引の重要な側面を理解する
  4. デューデリジェンス:
    買い手は売り手企業のビジネス、財務、運営、および法的状況を徹底的に調査する
  5. 交渉:
    デューデリジェンスの結果に基づいて、価格や条件に関する交渉が行われ、意向書が作成される
  6. 最終合意とクロージング:
    合意が成立した後、最終的な購買契約が作成および署名され、取引がクローズされる

ティーザーとノンネームシートの提供後は、以上のプロセスをもとにM&Aが行われます。

ティーザーとノンネームシートはM&Aの進め方を理解しておくことも重要です。

M&Aの進め方は以下の記事でも解説しているの興味がある方は、ぜひ以下の内容をチェックしてみてください。

ティーザーとノンネームシートの確認後の注意点

ティーザーとノンネームシートを通じて、企業がM&Aのプロセスの初期段階をクリアした後、さらなる手続きが続きます。

ティーザーとノンネームシートの提供後のプロセスでは、以下の2つの注意点があります。

  • 専門家のアドバイス
  • 迅速な対応
専門家のアドバイス

M&Aは非常に複雑なプロセスで、法律や財務に関連する多くの規則や要件があります。

例えば、契約書の作成や財務報告、価格交渉など、専門的な知識が必要なタスクが多く含まれます。そのため、法律や財務のプロフェッショナルにアドバイスを受けることは非常に重要です。

これにより、法律問題や財務問題を未然に防ぐことができ、また、適切な価格での取引を進めることができます。

つまり、専門家にアドバイスを求めることで、M&Aプロセスをスムーズかつ安全に進めること可能です。

迅速な対応

M&Aのプロセス中、買い手から多くの質問や情報をリクエストすることがあります。質問やリクエストに対して迅速に回答することは、買い手との良好な関係を築く助けとなり、取引を円滑に進めることができます。

例えば、買い手から財務データに関する質問が来た場合、それに対して迅速に明確な回答を提供することで、買い手の信頼を得ることができ、取引の進行を支援することができます。

遅れずに必要な情報を提供することは、全体的なプロセスをスムーズにし、成功に近づける重要な要素となります。

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