M&Aの仲介手数料は誰が払うの?【種類と注意点を解説】

M&Aの取引には、必ず仲介業者が関与しています。

仲介業者は、買い手と売り手をマッチングさせ、交渉を円滑に進める役割を果たしてくれますが、その仲介業務に対する手数料は一体誰が負担するのでしょうか?

この記事では、「M&Aの仲介手数料は誰が払うの?」という疑問について詳しく解説します。M&A取引を進める上で知っておくべき重要な内容なのでぜひでチェックしてみてください。

目次
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M&Aの仲介手数料は誰が払うの?

M&Aの仲介手数料は誰が払う?

結論から言うと、M&Aの仲介手数料は、買い手と売り手の両方が支払います

両手取引であれば買い手と売り手(売主)の双方、片手取引であればM&Aの専門家と契約した買い手もしくは売り手の片方が支払います。

M&Aの両手取引

売り手と買い手の間に同じM&Aの仲介業者(アドバイザー)が入る形態を「両手取引」と呼びます。

この場合、1つの仲介業者が両方と交渉を行い、取引を進めます。そのため、仲介手数料は買い手と売り手(売主)の両者が負担します。

両手取引では、1つの仲介業者が全体的なバランスを考えて交渉を進めるため、円滑な取引が期待できます。

M&Aの片手取引

片手取引では、買い手、または売り手がM&Aの専門家と契約し、その専門家に対して仲介手数料を支払う形態のことです。

M&Aの両手取引と片手取引の違い

M&Aの両手取引と片手取引の違い

両手取引と片手取引の違いは、案件に関わる業者の数です。両手取引は同一の業者が仲介するので1社ですが、片手取引は別々の業者に依頼するため2社以上が関わります。

両手取引と片手取引の違いは、仲介手数料の負担にも大きく関わり、両手取引は同一の業者に対して支払うため仲介手数料の負担を分担できますが、片手取引は別々の業者に支払うため仲介手数料の負担は単純に倍増します。

片手取引は仲介手数料の負担が増加する半面、専属サポートを受けられるというメリットもあります。

M&Aを検討する際は、仲介手数料の負担と専属サポートを天秤にかけて、自社に合う形態を選択することになります。

M&Aの両手取引のメリットとデメリット

M&Aの取引にはさまざまな形式が存在しますが、その中でも「両手取引」という形式があります。

両手取引は、一つの仲介会社が買い手と売り手の両方を代理する取引スタイルを指します。この方法にはメリットとデメリットが存在し、それぞれの特徴を理解することが、適切な取引の選択に繋がります。

M&Aの両手取引のメリットとデメリットは以下の通りです。

両手取引のメリット

  1. 仲介手数料の負担を軽減できる
    一つの仲介会社が両方の役割を果たすため、通常よりも手数料の負担が軽減される場合が多い
  2. 友好的なM&Aを実現しやすい
    同一の仲介会社が交渉を進めるため、スムーズなコミュニケーションにより、友好的なM&Aが実現しやすくなる

両手取引のデメリット

  1. 利益相反の可能性がある
    一つの仲介会社が両方の立場を代理するため、公平性が損なわれる可能性がある
  2. 買い手が優遇されて売り手が不利になる
    仲介会社は買い手からの成功報酬が発生するため、買い手の意向を優先する傾向がある

両手取引は、その特性上、取引の進行がスムーズであることが期待される一方で、公平性の観点から注意が必要です。

特に、売り手として取引を進める場合、仲介会社との信頼関係やその過去の実績をしっかりと確認することが重要となります。また、取引の過程で生じる疑問や不安は、随時専門家や弁護士に相談することをおすすめします。

M&Aの両手取引のメリットとデメリットをしっかり理解し、適切な判断を行うことが重要です。

M&Aの片手取引のメリットとデメリット

M&Aの取引には、さまざまな形式があります。その中で「片手取引」というスタイルも存在します。この取引形式は、一つの仲介会社が買い手または売り手のいずれか一方だけを代理するスタイルを指します。

片手取引にも独自のメリットとデメリットがあり、その特徴を把握することが、M&Aの成功に繋がります。

M&Aの片手取引のメリットとデメリットは以下の通りです。

片手取引のメリット

  1. 専属サポートのため、要望を聞いてもらえる
    仲介会社が特定の立場のみを代理するため、その立場の要望やニーズに特化したサポートを受けられる
  2. 売り手は譲渡価格の最大化を図りやすい
    売り手専属の仲介会社の場合、譲渡価格の最大化を目指して交渉を進めることが可能

片方だけの立場を優先する仲介会社が関与するため、取引の進行が遅くなる可能性がある

片手取引のデメリット

  1. 仲介手数料の負担が大きい
    専属サポートの反面、仲介手数料が高くなる
  2. M&A交渉が長引きやすい
    片方だけの立場を優先する仲介会社が関与するため、取引の進行が遅くなる

片手取引は、一方の立場に特化したサポートが受けられる利点がある一方、手数料の負担や交渉の遅延といったリスクも内包しています。

このため、取引を進める際には、自身のニーズや取引の条件をしっかりと整理し、最適な仲介会社の選択が求められます。

M&Aを成功させるためには、自身の状況や要望をしっかりと伝え、適切なサポートを受けることが重要となります。

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M&Aの仲介手数料の種類

M&Aの仲介手数料の種類

M&Aの仲介手数料は、M&A取引を円滑に進めるために仲介業者やアドバイザーに支払われる費用であり、通常以下の種類があります。

M&Aの仲介手数料の種類と料金

  1. 相談料:0~1万円
  2. 着手金:100万円〜200万円以上(税抜)
  3. 月額報酬(リテイナーフィー):月額20~50万円(税抜)
  4. 中間報酬:成功報酬の内金として10%または20%
  5. デューデリジェンス費用:2万円〜5万円(1時間あたり)
  6. 成功報酬:取引価格の1%から5%(売却費用によって異なる)

M&Aの手数料は、M&A取引の異なる段階やプロセスをカバーするために存在しており、それぞれの手数料は、依頼企業とアドバイザーまたは仲介業者との間で事前に合意されることが一般的です。

具体的な手数料の金額や割合は、アドバイザーや仲介業者、案件の規模や複雑さによって異なるため、事前に明確に確認し、必要に応じて交渉することが必要になります。

M&Aの仲介手数料に関しては、M&Aのコンサル費用でも解説しているので気になる方はチェックしてみてください。

M&A仲介手数料を支払うタイミング

M&Aの仲介手数料を支払うタイミング

M&Aのプロセスは、複数の段階に分かれており、各段階で異なるタイプの仲介手数料が発生します。ここでは、各手数料の支払いタイミングについて解説します。

M&A仲介手数料を支払うタイミングは以下の通りです。

M&A仲介手数料を支払うタイミング

  • 相談料:M&Aの専門家に相談したとき
  • 着手金:M&Aの専門家に依頼したとき、または買収候補先を決定したとき
  • 月額報酬(リテイナーフィー):M&Aの専門家と契約以降、毎月発生
  • 中間報酬:M&Aの基本合意契約が締結されたとき「成功報酬の10~20%分の前払い」
  • デューデリジェンス費用:デューデリジェンス(事前調査)が実施されたとき
  • 成功報酬:M&Aが成約したとき。買収手続き終了後に直ちに支払うことが求められる

手数料の詳細な内訳や支払いタイミングは、M&Aの専門家や仲介業者との契約時に明確に理解しておくことが重要です。不明点は契約前に確認し、必要に応じて交渉することも考慮しておきましょう。

着手金や月額報酬、デューデリジェンス費用などは、プロジェクトが成立するかどうかに関係なく支払わなければならない可能性があるため、事前に予算を確保しておくことが重要です。

成功報酬は、通常、取引の総額の一定のパーセントとして計算されますが、このパーセント率や計算方法は、事前に明確に確認し合意しておくことが必要になります。

M&A仲介手数料を支払うタイミングは、M&Aの進め方と一緒に学ぶとより理解することができるので、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

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M&Aの仲介手数料を支払う際の注意点

M&Aの仲介手数料を支払う際の注意点

M&Aが最終的に成約とならなくても、支払った着手金や中間金は返金されないことがあります。

また、仲介会社だけが利益を得られる方向に誘導される恐れもあります。

  1. 契約内容を確認する
  2. 成功報酬を計算する
  3. 追加費用を確認する

契約内容を確認する

M&Aの取引において、仲介業者との間で発生する仲介手数料は、取引成功の一因ともなる大きな費用の一つです。しかし、仲介手数料を支払う際は、どのように計算されるのかや具体的な契約内容をしっかりと把握することが不可欠です。

M&Aの仲介手数料を支払う際の最も基本的な注意点は、「契約内容の確認」です。

契約に書かれている内容に基づいて手数料が正確に計算されているか、またその条件や計算方法が納得できるものであるかを確認することが重要です。

契約内容をしっかりと確認することの重要性は、以下の通りです。

  • 不明確な契約内容は後のトラブルの原因となる
    契約内容が曖昧であると、後から解釈の不一致によるトラブルが発生するリスクが高まる
  • 手数料計算の方法や条件が業界標準と異なる可能性
    業者によっては、独自の計算方法や条件を設ける場合がある

契約書は、M&Aの取引における双方の約束事を明文化したものです。仲介手数料に関しても、計算方法や支払いタイミング、条件などが詳細に記載されています。

この契約書を元に、仲介業者との間での手数料の取り決めを進めるため、内容をしっかりと理解しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

特に、業者ごとに手数料の計算方法や条件が異なる場合があるため、他の業者との契約内容を比較検討することも有効です。

成功報酬を計算する

M&A取引が成功すると、多くの仲介業者が「成功報酬」として手数料を請求します。しかし、その計算方法や金額には業者によりバラつきがあり、適正なものであるかどうかを判断するのは難しいこともあります。

M&Aの仲介手数料を支払う際の注意点は、「成功報酬の正確な計算方法」と「それに基づく金額を理解しておくこと」の2点です。

成功報酬の計算には以下のような影響があるため、注意が求められます。

  • 計算の基準となる金額の明確化
    成功報酬は、取引金額の一定割合として計算されるが、基準となる金額や、計算に使用する割合が業者ごとに異なる場合がある
  • 上限や下限が設けられているか
    ある一定の金額を超える場合や未満の場合の報酬の取り決めがあるかもしれないので確認が必要

成功報酬は、M&A取引の成功を前提とした報酬であり、取引が成立しなかった場合、一切の手数料が発生しない形態をとることが一般的です。

しかし、取引が成功した際の報酬の計算方法や金額は、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

特に、取引金額が高額になると、少しの割合の違いでも実際に支払う金額に大きな影響を与えるため、事前の確認や認識の共有が不可欠です。

追加費用を確認する

M&Aの取引が進行する中で、仲介手数料以外にもさまざまな費用が発生する可能性があります。取引が進むにつれて突如として追加の費用が発生したり、予想外の支払いを求められると、予算の計画が狂ってしまうことがあります。

M&Aの仲介手数料を支払う際の重要な注意点は、「取引の初めにすべての可能性のある費用を確認し、予期せぬ追加費用に備えること」です。

追加費用が発生する主な理由は、以下の通りです。

  • 専門家のコンサルティング料
  • 取引の中で特定の知識やスキルが必要となり、外部の専門家に依頼する場合もある
  • 文書作成や調査に伴う費用
    契約書の作成やデューディリジェンスの実施に必要な費用
  • その他の手数料
  • 取引に伴う手数料や、予期せぬ問題が発生した際の解決にかかる費用

M&Aの取引には複雑な手続きや調整が伴い、それに伴って様々な費用が発生します。その中でも、仲介手数料以外の追加費用は、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

M&Aの仲介手数料を支払い際は、外部の専門家のコンサルティング料、契約書の作成費用、デューディリジェンスの実施に必要な費用など、取引の進行に伴い発生する可能性のある費用をリストアップし、それに備えることが大切です。

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