M&A後のPMI(ピーエムアイ)とは?【プロセスについても解説】

M&Aは企業の成長と拡大を目指す上で必要な戦略の1つです。しかし、M&Aを成功させるためには、企業を買収するだけでは不十分で、その後の統合プロセスが非常に重要となります。

そのM&A後の統合プロセスのことをPMI(ピーエムアイ)と呼びます。この記事では、「M&AにおけるのPMIとは」や「PMIのプロセスはどのように進行するのか」などについて詳しく解説します。

目次
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M&AにおけるPMIとは?

M&A後のPMIとは

PMIとは、M&Aが成立した後に実施される譲渡企業と譲受企業の経営統合を実行するプロセスのことで、M&Aで最も重要なプロセスの1つです。

PMIの対象範囲は、経営、組織、業務、管理など統合に関わるすべてに渡り、最終的な目的は「M&Aの戦略上の目的を実現させること」と「企業価値の向上」にあります。

しかし、日本のM&AではPMIがしっかり行われるのは珍しく、PMIが不十分なためにM&Aで想定したシナジー効果を得られないケースは少なくありません。

今後、企業の成長のためにM&Aを考えている方は、PMIについてしっかりと学んでおくことをおすすめします。

そもそもPMIのとは?【意味・概要】

M&Aのプロセスは、単に企業の買収や合併が完了するだけで終わりではありません。M&Aの最終段階であるPMIが非常に重要なフェーズとなります。

PMIは「Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)」の略称で、M&Aの完了後(企業が合併や買収を完了した後)に、異なる企業文化、システム、プロセスを統合し、単一の組織として効果的に機能させるプロセスのことを指します。

M&Aの成功は、PMIが成功に大きく関わっています。M&Aの成否は交渉が2割で、PMIが8割と言われています。つまり、買収前に期待した経営効果が実現できるかどうかは、PMIの成功によって発揮される効果が変わってくるということです。

PMIの具体的な統合内容は、M&Aの目的や両社の特性により異なります。例えば「グループ方針の統一」や「コスト削減」などが挙げられます。

また、PMIは一度きりのプロセスではなく、中長期的な視点でシナジーを創出し続けるために継続的な改善が必要な作業です。

なぜPMIは重要なのか?

PMIはM&Aの成功を左右する重要なステップです。

企業がM&A(合併・買収)を行うときの目的は通常、買収対象企業の価値を向上させること(シナジー効果を実現するなど)です。

そのためには、事前に何らかの仮説を立て、デューデリジェンスやその他の手続きを通じて、事前に立てた仮説が現実的に実現可能かどうか、問題がないかを検証する必要があります。

M&AにおいてPMIが重要な理由は、実際に検証した仮説を具体的な形にするため、その時の問題に対処するためのプロセスそのものが必要だからです。

仮にPMIが不十分な状態で行われた場合、会社の成長へ悪影響を及ぼすため、事前に立てた仮説やM&Aのシナジー効果を得られない可能性があります。

また、M&A後の会社は不安定のため、PMIを適切に実行するのは困難です。PMIを行う際は、M&A専門家に協力してもらうことをおすすめします。

PMIを成功させるためには?

PMIを成功させるためには、「明確な計画と目標の設定」が不可欠です。

明確な計画を事前に立てることで、失敗する前に軌道修正が可能になり、明確な目標の設定は、会社全体の指針となり、一致団結につながります。

このプロセスでは、企業文化の違いやコミュニケーション不足を解消し、新しい組織の方向性を明確に示す必要があります。

また、M&A後のPMIで失敗しない方法について知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

M&A後のPMIのプロセス

M&A後のPMIのプロセス

M&A後のPMIのプロセスは、以下の5つのステップに分けることができます。

  1. 統合方針を固める
  2. ランディングプランを策定する
  3. 100日プランの作成する
  4. PMIを実施する
  5. PMIの検証する

①統合方針を固める

まず最初のプロセスは、統合方針を固めることです。

統合に向けたビジョンを明確にし、これに基づく統合戦略の策定を行います。 統合戦略には、期待されるシナジー効果の一覧や主要施策、主要なマイルストーンが記載されます。

M&A後の統合方針を固める際には、以下の要素を考慮しておきましょう。

期待されるシナジー効果

シナジー効果とは、統合によって生じる付加的な価値のことで、コスト削減や収益増加などが含まれます。

例えば、製品ラインの拡大や新市場へのアクセスなど、M&Aによってどのようなシナジー効果を期待しているかを明確にすることが重要です。

主要施策

統合を成功させるための具体的な施策を策定します。 これには、組織再編や業務プロセスの統合、ITシステムの統合などが含まれます。

主要なマイルストーン

統合プロセスは複雑で時間がかかるため、進捗を管理するための主要なマイルストーンを設定します。 これにより、統合作業が計画通りに進行しているかを確認し、必要に応じて改善策を策定できます。

マイルストーンとは?

プロジェクトの開始や終了、主要な作業フェーズの完了、プロジェクトの成果物の生産など、プロジェクトにおいて強調すべき事項を示すことです。

プロジェクト管理におけるマイルストーンとは、プロジェクトの進行における特定のポイントのことでもあります。

②ランディングプランを策定する

ランディングプランは、M&Aが成立(クロージング)してから数カ月以内に行うべき統合作業を計画することです。クロージングしてから3カ月~6カ月以内に行う作業を計画に入れるのが一般的で、売却側と買収側での作業を含めます。

これは、組織体制や業務プロセス、ITシステムなど、M&A成立直後に必要となる事項を明確にする作業です。

③100日プランの作成する

100日プランとは、M&Aの成立後の最初の100日間で達成すべき目標とそのための具体的な行動計画を作成することです。

M&Aが成立(クロージング)してから100日間で行われる課題への解決策を計画に落とし込み、経営改革プランや中期経営計画を策定します。

100日プランを作成することにより、統合初期の重要なタスクを明確にし、統合作業をスムーズに進めることができます。

100日プランを実行に移す前には、プロジェクトチームを作っておきましょう。プロジェクトチームは買収側から派遣された人と売却側におけるの人を混ぜたチームにすることで、抜本的な変革に繋げることができます。

④PMIを実施する

PMIの実施フェーズでは、上記で策定した計画に基づき、具体的な統合作業を行います。

具体的な統合作業は、以下の通りです。

  • 組織の再編成
  • 業務プロセスの統合
  • ITシステムの統合

ランディングプランや100日プランを実施する際は、「進捗に遅れがないか?」「効果はきちんと出ているか?」など計画とずれがないか適切に把握する必要があります。

⑤PMIの検証する

PMIの検証フェーズでは、統合作業が計画通りに進んでいるかを確認し、必要に応じて改善策を策定します。

また、シナジー効果が期待通りに実現しているかを評価し、必要な調整を行います。

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M&A後のPMIの内容

M&A後のPMIの内容

M&A後のPMIで統合する内容は、以下のようなものがあります。

  1. 経営体制・組織の統合
  2. 組織内の制度の統合
  3. 業務と内部システムの統合

経営体制・組織の統合

M&A後の経営体制と組織の統合は、新たに形成された組織が効率的に運営され、事業の目標と戦略が達成されるために極めて重要です。

このプロセスは、異なる組織文化と操作方法の統合を含む多くの挑戦をもたらし、事業の成功に直接影響を与えます。

M&A後の経営体制の統合に関する内容

  • 役員の配置:
    新たな役員の配置は、企業のビジョンと戦略の適切な実行を保証するために重要
  • 経営陣の役割と責任:
    それぞれの経営陣の役割と責任を明確に定義し、コミュニケーションを強化することが重要

M&A後の組織の統合に関する内容

  • 部門の再編成:
    部門の再編成は、業務プロセスを効率化し、新しい組織構造を確立するために必要不可欠
  • 企業文化の統合:
    異なる企業文化の統合は、従業員の満足度と生産性を向上させるために重要

M&A後の経営体制と組織の統合において以下の問題点も挙げられます。

M&A後の経営体制と組織の統合の問題点

  • 経営陣や従業員間のコミュニケーション不足
  • 組織文化の違いによる摩擦
  • 役員および従業員の抵抗

以上の内容を踏まえた上で、M&A後の経営体制と組織の統合は、「経営陣や従業員との明確なコミュニケーション」と「早期に統合の計画を立て、実行すること」の2点が重要です。

組織内の制度の統合

M&A後の組織内の制度の統合は、新しい企業文化の形成と従業員の満足度の維持に向けた重要なステップです。

人事評価制度、報酬制度、および福利厚生のような制度の統合は、従業員のモチベーションを高め、組織の目標と価値を明確に伝える手段となります。

M&A後の組織内の制度の統合に関する内容は、以下の通りです。

M&A後の組織内の制度の統合に関する内容

  • 人事評価制度:
    統合された企業の目標と価値に基づく新しい評価基準とプロセスを設定すること
  • 報酬制度:
    公正で透明な報酬制度は、従業員のモチベーションを保ち、業績を向上させるために必要不可欠
  • 福利厚生:
    従業員の満足度とロイヤルティを向上させ、新しい組織文化の形成を促してくれる

M&A後の組織内の制度の統合において以下の問題点は、「透明性の欠如」が挙げられます。統合プロセスにおいて、透明性が不足していると、従業員の不安や疑念が生じる可能性がある

以上の内容を踏まえた上で、M&A後の組織内の制度の統合は、「統合の目的とプロセスを明確に伝え、従業員の質問や懸念に対応すること」が重要です。

業務と内部システムの統合

M&Aを成功させるためには、業務と内部システムの統合は避けて通れないステップです。

これは、企業活動全体の効率性と効果性を高め、一貫した情報管理を実現し、業務効率を向上させるため必要なプロセスになります。

M&A後の業務と内部システムの統合に関する内容は、以下の通りです。

M&A後の業務と内部システムの統合

  • 業務の統合:
    統合された企業の業務を最適化することで、重複や非効率を排除し、業務効率を向上させる
  • 内部システムの統合:
    ITシステムの導入し、データ管理の一貫性とアクセス制御し、リアルタイムでの情報共有する

業務と内部システムの統合において以下の問題点も挙げられます。

M&A後の業務と内部システムの統合の問題点

  • 互換性の問題:
    異なるシステムやプラットフォーム間の互換性の問題が、統合プロセスを複雑にする可能性がある
  • データ移行:
    データの正確な移行は、データの損失や誤解を防ぐために重要であり、時間と労力が必要になる

以上の内容を踏まえた上で、M&A後の業務と内部システムの統合は、「業務とシステムの統合は計画的に行う必要があり、関係者全員がプロセスを理解し、サポートできるようにすること」が重要です。

M&A後のPMIの知識を得る方法

M&A後のPMIの知識を得る方法

M&AにおけるPMIの事前知識を得るための方法には、以下の2つがあります。

  1. セミナーに参加する
  2. PMIに関する書籍を読む

セミナーに参加する

M&Aに関するセミナーは、内容の幅広さから様々なセミナーが開催されています。セミナーに参加する場合は、自社の目的に合うものを選択しましょう。

特に、今回M&A後のPMIの重要性を知った方にとって、セミナーに参加することは、効率よく知識を吸収できる良い機会になるでしょう。

M&Aに関するセミナーに参加する際は、「実績や信用力がある企業」または「正確な情報を持っている専門家」のセミナーに参加することをおすすめします。

例えば、「 一般社団法人PMI日本支部」や「M&A仲介業者」「商工会議所」などでは、さまざまなイベントやセミナーを開催しており、PMIについての理解を深められる機会が多いです。

また、セミナーに参加するメリットとしては、一般的なPMIの進め方や課題、注意点などに加え、PMIの経験談や成功例、失敗例などの話を聞くことができるところです。

セミナーの内容は開催者や登壇者によって異なるため、目的意識をもって参加することをおすすめします。

PMIに関する書籍を読む

PMIの知識を書籍から吸収する方法もおすすめです。書籍のメリットは、自分のペースで理解しながら、熟読できるため、より深い知識を得ることができます。

PMIに関する書籍は、以下の2冊がおすすめです。

  • 企業買収後の統合プロセス(初学者向け)
  • M&Aシナジーを実現するPMI(経営者向け)

企業買収後の統合プロセス(初心者向け)

M&A後の実務を「経営」「業務」「意識」の3つに分け、企業内部の視点からPMIについて分かりやすく解説してくれている入門書です。

企業買収後の統合プロセスは、幅広いテーマを図表を用い分かりやすく説明しており、企業の実例をもとに書かれています。

「M&A(買収)後に何をしたら良いのか?」という疑問に対して、図解で解説されているのでPMIの全体像を容易にイメージすることができます。

PMIの全体像について知りたい人にはおすすめの一冊です。

M&Aシナジーを実現するPMI(経営者向け)

M&A(買収)後のPMIのノウハウを体系的に解説してくれている、初めての実務ガイドブックです。

実際のM&Aにおいて、事業シナジーを創出し企業としての成長を実現するためには、PMIの的確な実行が必要になります。

M&Aシナジーを実現するPMIは、買収目的に応じたPMIの手法について、「組織、人事諸制度の面」と「企業・組織文化の面」の2つの視点から、インタビューやケーススタディなどを交えて具体的に解説されています。

「PMIでシナジー効果を発揮させるために人事は具体的に何をすべきか?」といった内容が記載されています。

PMIの事例も交えて解説されているので、PMIの進め方を具体的にイメージすることができます。人事のPMI担当や経営者がPMIで何をすべきか迷った時におすすめな本です。

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