窯業(陶器製造販売)/事業再生(事業DD、実行支援)

事業概要

 陶器の製造販売。家族経営の小さな企業であるが、自社で窯場と店舗を持ち、壺や花瓶、食器類など、陶芸家が創作する陶器を製造して販売する。販売先は主に、自社店舗と全国の展示会場で、主な展示会場は、デパートや貸ギャラリー、画廊である。作風は、日常で使用するものの他、芸術的な雰囲気を持つものまでさまざまである。制作者のこだわりが強く、1品1品手作りであるが、見た目はやや地味である。

 近年、重要な販売機会である展示会が減少傾向であり、かつては数千万円あった売上も、近年は減少してきており、ここ数年は赤字計上が続いている。

問題点

 問題点は、知名度が低い事である。制作者は芸術家であるため、マーケティングに関する知識がなく、営業や販促活動もほとんど実施していない。店舗内は、広いが地味な印象で、かつ雑然としており、カテゴリー別に陳列されておらず、POPなども設置されていない。数十年前の制作者が若い頃のファンは老齢化し、固定客も年々減少してきている一方で、新規の顧客を獲得できていない。

強み

 強みは、制作者による奥深いデザインである。決して華やかではないが、独特のフォルムと神秘的な「和」のデザインの作風により、いくつか賞の受賞経験もある。一品一品単年に創作しているため、コアなファンも多い。

改善策

 解決策は、徹底したブランディング活動である。従来の全国の展示会だけでなく、地域内でのコアなファンも多いため、SNS等で広く発信することで、新たな顧客を獲得できる可能性は十分にある。芸術作品であるため、まずは地域内の知名度を向上させ、地域を上げて盛り上げる施策が必要である。

 また、インバウンドの顧客を取り込むことも重要である。国内には、信楽焼や備前焼、九谷焼など、ブランドを確立したさまざまな焼き物があり、競争は激しい。かつ、ブランド力がない当社は不利である。一方で外国人は、国内のブランド力の優越の知識がなく、さらに当社の「和」のテイストは、外国人に受け入れられる可能性が高い。

 日本の文化ともいえる芸術品のため、地域で盛り上げるための施策と、インバウンドの取り込みが、再生のポイントと言える。

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