温泉街のホテル/事業再生(事業DD)

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事業概要

 地方で運営する某温泉街のホテル。

 部屋数は50弱、収容員数は100名を超える中堅ホテルである。

 元々は某官庁の外郭団体が保有するホテルであったが、国の方針により施設を閉鎖、民間への売却となり、現在の社長が買い取ったという経緯がある。

 ただし、社長はオーナーではあるが経営には関与せず、総支配人が実質的な責任者として運営している。  

 当ホテルは、宿泊施設だけでなく、日帰り観光、レストランの運営も行っている。

 しかし、宿泊客、日帰り客、レストラン客、いずれも減少傾向となっている。  

 顧客の減少によって売上も減少傾向である。

 売上高営業利益率は、減少傾向であるがプラスであり、直近でも数%を確保している。

 しかし、同業界ではよくあることであるが、借入過多の状態で、売上高借入金比率は100%を超えている。

 そのため借入の負担が大きく、経常利益はトントンの状態が続いている。   

問題点、課題

 最大の問題は、総支配人の経営手法である。

 いわゆる「ワンマン体制」であり、社長の指示に多くの社員は忠実に従っているが、顧客思考で優秀な社員との確執が大きくなっている。

 まずは多くの数値管理を指示して作成しているが、形骸化しており経営に活かせていない。

 本来であれば、この定量データから、要因である訂正データを探っていき、PDCAを回す必要があるが、実施できていない。

 数値分析結果のデータは、総支配人が社長に提出するために実施しており、この数値作成の作業が社員の負荷を大きくしている。  

 次に思いつきによる判断で指示を出し、うまくいかなければすべて現場の責任にしてしまっている。

 例えば刺身では「活き造り」とうたっているが、人数不足のため顧客に提供する2時間も前に調理済みとなり、新鮮さが足りない。

 この問題の原因は、調理場の人不足であるが、コストがかかるとのことで新たな人材の採用は考えていないという。

 刺身が新鮮ではないことをネットのクチコミで指摘されており、顧客の満足度も下がっている状況である。

 この料理の質低下、そして総支配人のワンマンによる従業員のYESマン化によって、従業員の顧客満足度の意識が低下し、顧客にそっけない対応をする社員も散見されるなど接客サービスも低い。

 これが当社の客離れを起こしているが、改善への取組みが行われない。

 その中で、新たに生簀を作るよう現場に指示しているとのこと。

 しかし生簀は仕入や管理が難しく、原価高騰、現場の作業負担増大を招くとして料理長は猛反対しているが、聞く耳を持たず、総支配人と料理長の対立が続いている。

 さらに、当方に対しては、口コミへの批判をすべて料理長の責任にし、自身の非を認めないだけでなく、自身の高年齢によるモチベーション低下を理由に責任逃れの発言を繰り返していた。

 この他、料理にはお品書きなし、配膳時の説明なし、清掃時間も決められていない。   

改善策

 当ホテルの最大の課題は、総支配人の存在である。

 現在の総支配人の意識を改革しなければならない。

 それが難しいのであれば、総支配人を交代させることも検討すべきである。

 当社は経営レベルだけでなく、業務レベルでも様々な問題を抱えているため、実質のトップを交代させて、その上で、料理や接客、その他販促などを見直し、1つ1つ丁寧に改善して、顧客に満足してもらえるホテルに生まれ変わる必要がある。

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