梱包・封入業/事業再生(事業DD)

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事業概要

 当社は、自治体や企業からの請負で、梱包作業および封入作業を行っている。

 作業の請負のため原材料は段ボールや消耗品のみである。

 自社では、人の手で梱包作業と封入作業を行っており、典型的な労働集約型ビジネスモデルである。

 従業員構成は、正社員が5名とパートが20名ほどで、組織体制は、営業が社長を含めて3名、それ以外はすべて業務を担当している。

 ただし営業は、新規開拓を行っておらず、既存顧客の対応のみであり、既存顧客向け営業は、取引品の引取り・納品の他、顧客に定期的に電話をしたり訪問したりして案件状況を確認している。

 得意先は、自治体、印刷会社や電機メーカー、商社などの企業の他、同業者であり、取引ルートは、自治体や企業からの直接依頼と、同業社からの依頼の2通りである。

 得意先の数は、同業者を含めて十数社であり、既存客からのリピートが主体で、新規の顧客は長い間獲得できていない。

 なお納品は、得意先、或いは得意先指定の納品場所であり、自社トラックで引取りと納品を行っている。   

競合他社分析

 競合他社は5社程度存在しており、1件当りの単価は他社と比べて安価である。

 競合のうち1社は業界大手の企業であり、最新の高速プリンターや封入機を導入して機械化を実現している。

 ただし機械でできない、人手が必要な細かい作業は外注しており、当社の得意先でもある。   

強み

 当社の強みは、「ミスが少ない」「作業スピードが速い(短納期)」であり、本事業で勝ち抜くために必要な要素を備えている。

 既存顧客からの評価も高く、既存顧客のリピート化させる要因となっている。

 これらを実現させている要因は、作業開始前に細かく作業を設計していることである。

 長年の経験で培ったミスなくスピーディに実施できるノウハウを活かして、作業手順やミス発見、管理方法を事前に設計するため、作業員は決められた業務を迅速かつ正確に実施できている。   

問題点

 課題 問題は、かつて大手企業との取引停止、リーマンショックなどの外部環境により業績を大きく落とし、さらには年々売上が減少傾向にあることから、業績は低迷しており、黒字と赤字を繰り返していることである。

 さらには運転資金不足により借入が増えている状況であり、直近の売上高借入金比率は100%を超えてしまい、返済と利息の負担が大きくなっていることである。

 これらの要因はいくつかあり、具体的には以下のとおりである。  

・顧客数が少ない

・新規開拓営業を実施せず長年固定客のみで事業を運営している

・安い料金で受注しているため収益力が低い

・既存顧客からのボリュームディスカウントに対応している。

・パートが多いが、時間管理が徹底できていないため仕事がなくても人件費が発生

・在庫管理ができておらず、棚卸資産回転数が100日を超えている  

 ちなみに、在庫の数が増大しているのは粉飾決算の疑いがあるが、在庫置き場の確認を断固拒否されたため確認はできていない。   

改善策

 改善策としては、まずはパートの時間管理を徹底することである。

 作業手順について緻密に設計しているが、作業状態は未管理のため、手順設計以外に、実際の業務時間を管理し、パートの出退勤管理を徹底することで無駄なコストを削減する。

 そして新規開拓の営業を実施し、顧客数を増やすことである。

 具体的には、まずは既存顧客からの紹介を徹底することが望ましい。

 そして業務品質に課題がある競合他社の顧客を狙って開拓する。

 その他、既存顧客からのボリュームディスカウントは拒否するべきである。

 理由は、労働集約型であるためボリュームが大きくてもコスト削減効果が望めないからである。

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