白熱電球、LED電球製造販売/M&A、経営改善(事業DD)

外部環境
 電気照明市場では、一般向け市場ではLEDかが進み、白熱電球は縮小傾向。一方で大手メーカーは白熱電球から撤退し、中小企業が主要メーカーとなっている。また、特殊製品については、仕様面およびコスト面でLED化が難しいケースもあるため、白熱電球の特殊製品の市場は堅調。さらに、白熱電球の海外メーカー品は品質が低い。その他、一般市場向けLEDは、様々な企業が参入して競争が非常に激しく、低価格化が進んでいる。一方で産業用LEDはメーカーが限定され、競合も少なく、一定価格が維持されている。

事業概要
 当社は、白熱電球とLED電球の双方を製造販売している。特殊品も多く、当社独占の製品もある。製造は産業向けがメインであり、一般消費者向けは海外製品の仕入販売を行っている。
 上記外部環境通り、大手メーカーの撤退により白熱電球の需要が増大し、当社の売上は増加。しかしその後、某業種向けの需要が一気に白熱電球からLEDに切り替り、その業種向け白熱電球の需要は減少した。当社は某業種向け白熱電球の売上構成比が高かったため、当社の売上も大きく減少した。

財務状況
 直近で売上が減少し、営業利益はマイナスに陥った。原因の1つは、売上減少による、売上高労務費比率の上昇である。現場の技術者やスタッフはほぼ正社員であり、彼らの労務費は固定化されている。そして売上が減少する一方で、労務費は維持されているため、売上高労務費比率が増加したのである。その結果、当座比率は100%を下回り、資金繰りも厳しい状況になりつつあった。

問題点
 原価管理が不十分なことである。当社は原価計算を行っているが、10年程度前に実施した原価計算表をベースにしており、そこから材料費が大きく変わっている。そのため、今一度材料費を見直し、正しい原価計算を行う必要がある。

改善策
 まずは値付けを見直すことである。当社は特殊製品を数多く扱っており、当社独占の製品もある。そのため、ある程度価格コントロールが可能である。当然顧客との事前の連絡、そして顧客に納得してもらうように個別に対応することが必要であるが、早急に値上げを実施する。値上げ分が即利益につながるため、これによって大きく利益は改善され、黒字化が見込める。
 また、白熱電球は需要が減少してきているため、今後も柔軟な値付けが必要になる。そのためには、正確な原価を把握することが求められる。
 ちなみに、当社は上記施策を実施した結果、短期間で業績を大きく改善させることに成功した。

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