印刷業/事業再生(実行支援)

事業概要

 当社は、創業50年近くになる歴史のある印刷会社で、従業員数は、役員・パートを含めて10名程度である。

 当社の主な取引先は、ブローカーやデザイナー、広告代理店、小規模印刷屋など、仲介会社が中心であり、企業や一般消費者などのエンドユーザとの直接取引は少ない。

 また、当社はネットで注文をやり取りしており、顧客リストは数千社にのぼるが、面談による顧客の個別ニーズに対応したやり取りは行っていないため、顧客との関係性は希薄である。

 当社の設備である印刷機器は古く、機能も不十分で、需要の高いシール印刷やステッカー印刷などに対応できていない。

 そのためシール印刷は外注となり、ホームページの記載も少ない。

 実際にネット通販を分析したところ、シール印刷で顧客の多くが流出している。

 また、印刷業全般では、ラクスル等のネット印刷業者の台頭により低価格競争が激化しており、ネット環境の充実やスマホ活用が増加しているため、印刷の需要が大きく減少している。

 その影響により、当社の売上は年々減少しており、近年赤字に陥ってしまった。   

今後の方向性

 まずは印刷業というのは「資本集約型産業」であるため、規模の生産性によりコスト競争力が高まる事業である。

 そのため、もともと中小企業にとっては不利な業種であり、特にネット印刷業者が台頭した昨今ではさらに業況は厳しいといえる。

 ただし、印刷業は、大手企業はほぼ2社に限られ、それ以外はすべて中小企業である。

 そのため印刷業が生き残っていくには、以下の3通りの方向性を明確することが重要になる。  

①  中小企業の範囲内で規模の拡大を狙う

②  得意分野に特化する

③  デザインなどの業務を拡大する  

 しかしながら現在の当社の場合、いずれにも該当していない。

 そのため、まずは短期的な施策として、比較的効果の上がりやすい施策を実施しながら、合わせて中長期的な施策を実施することが必要である。  

 短期的施策は、まずは顧客リストを掘り起こして地道に営業をかけ、需要を取り込む必要がある。

 当社は長年取引のある業者が多いため、1つ1つ電話で連絡を取って、取引のあるもの以外のサービスを取り込んでいく。

 次の短期的な施策として、需要が大きいシールやステッカーの需要を取り込むことが重要である。

 シールやステッカーは、様々な種類があり、若者など一般消費者に訴求が可能であるため、SNSを使って新たな活用方法などを発信して訴求することが望ましい。

 そのためには、補助金を利用して設備投資を行って、シール需要を取り込む必要がある。  

 そして中長期的施策としては、新たな事業とコラボをして需要を取り込むことである。

 実行支援にて新事業を検討した結果、ポスティングサービス業者とコラボを行って、ポスティングの需要と印刷の双方を取り込む施策を行う。

 これにより、従来の事業所周辺に限定されていた商圏が一気に拡大する。

 さらに、ポスティング需要の高い飲食店や工務店などからの需要を取り込むことが可能となる。

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