本件は、営業部門に特化した事業DDの依頼に対応したものである。
事業概要
約40年前に創業の印刷業。
スクリーン製版がメインで、主に大手企業の試作品をメインに担当している。
その他、社長自身がデザイン性のある小物の開発を行っている。
業績
以前は某大手企業A社からの売上が4~5割を占めており、同社の依存度が高くなっていたが、A社からの受注が減少して売上が減少し、営業損失を計上することとなった。
さらに、前年に、資産価値向上を目的として不要不急の不動産を購入し、ストックしていた資金を使い果たしたため、今年度の業績悪化により資金繰りに窮することになった。
強み
印刷に関する高い提案力が強みである。
印刷知識が豊富で、デザイナーの難易度の高い要求も確実に提案することで、顧客からの信頼を得て来た。
そのため、大手企業のデザイナーとの信頼関係が構築できている。
その他、社長はアイデアマンであり、印刷を通して様々なオリジナリティのある製品を生み出している。
しかしどれも大きな売上を獲得するには至らず、新製品が収益の柱にまで育ったものはない。
問題点、課題
社長は長年、自身の信じる営業方針に沿って事業活動を行ってきた。
以下が社長の営業方針である。
【社長の営業方針】
・顧客の悩みを親身になって相談にのり、可能な限り対応する
・大口既存顧客の、同業界への横展開は行わない。これは秘密保持が困難となる可能性があるため
・独自のアイデアのみで勝負。競合他社の真似はしない
・顧客で培った技術は他で流用はしない
・当社に依頼がくるものだけ対応する。他社に依頼するのであればそれで構わない、というスタンス
・新規開拓は積極的に行わない。これは、もし受注が取れても自社の工程がいっぱいで納期が守れなければ顧客に迷惑をかけてしまう、という考えによるもの
これら「横展開しない」「顧客で培った技術を他で活用しない」「他社の真似をしない」「積極的な新規開拓を行わない」という、職に人気質の非合理的で戦略性の乏しい方針を貫いてきたことが、近年の大口顧客からの売上減少に拍車をかける結果となっている。
改善策
営業方針の見直しが必要である。
具体的には以下である。
① 積極的な新規開拓・横展開の実施
② 大手企業で培った技術を棚卸し、他社への提案材料とする
③ 顧客の要望への対応姿勢は維持し、蓄積した技術を使って差別化を図る
新規開拓営業には、シナリオを構築し、必要な営業資料を作成する。
特に豊富な試作品の実績があるため、それらの事例集を作成して、当社の高い技術と提案力をアピールできるようにする。